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感情を司る者ナノ
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人になった化け物は何を見て何を思うのか 第7話「明らかになる勇者の計画!龍神VS存在の勇者!」

夜ーー緩やかな風に揺れ動く草花。 光虫達は静かに舞っている。 その様々な色が混ざる中心にリリスはルールのパンチを受け止めた状態で固まっていた。 「貴様が勇者だとォッ……!?……ほうゥ、じゃあなんだァ?人間の希望である存在の勇者の貴様がァ、わえの仲間になりたいというのかァ?」 「はい!私は人間を裏切りルールさんと共に歩んで行きたいのです!」 「そんなこと信じられるかァッ!!わえの経験上大体そういうヤツは裏切るんだよォッ!!」 いっこうに攻めてこないリリスに苛立ち、ルールはリリスの顔めがけて蹴り上げる。 「おっと」 リリスは軽々と避け、バク転して距離を取る。 「えー?じゃあどうやったら信用してくれますかー?」 「信用もクソもまずわえは貴様が嫌いだァッ!!わえを思うならここで死ぬがいいィッ!!!」 ルールは地面を蹴り上げ、リリスに急接近する。 「ルールさんとはできるだけ闘いたくないんですが…仕方ありません…」 リリスはばっと大きく両手を広げ、ルールを待ち構える。 「ッー!!死”ねェェェェェッ!!」 リリスの舐めた行動にルールは大きく拳を振り上げ、リリスに殴りかかろうとした瞬間ー ぎゅっ 「ァ?」 ルールは一瞬の内に抱きしめられていた。 「一旦やめにしませんか?ルールさん」 リリスは優しい笑みでルールに話しかける。 「な、何ィッ……!?」 ルールは抱きしめられ一瞬驚くが、すぐ我に帰り拘束を振り解こうと力を込める。 「バカがァ!こんなものでわえがァー……な、何故動けぬゥ……!」 ルールの体は全く動かせず、かろうじて指がピクピクと動かせるぐらいだった。 「すみません、少し仕込んじゃいました「聖なる力」を」 ヒュオォ……! リリスの体から力が溢れ出す。 「き、貴様ァ……!まさかァわえをまた封印にィ……!!」 ルールは焦りで顔を歪ませる。 「いえ、そんなことはしません。体を拘束しただけですので安心してください」 リリスはルールを抱きかかえたまま近くの木へと行き、ルールをもたれさせる。 「ルールさん、なんで私がルールさんの前に現れたのか、知りたいんですよね?」 「……」 ルールはリリスを無視し、黙っている。 話す気が全く無いようだ。 「……じゃあ説明しますね。」 リリスは少し悲しそうな表情を見せる。 だがルールは俯き、リリスの表情には気づいてない。 「話は少し長くなりますけど……3600年前、人間との争いが酷かった時代に…私と魔王…もとい、ただの人間と魔族はこの世界の神に突然力を授けられました。」 「【存在】の力を授かった私たちは、力を託した神から使命を託され、初代魔王は世界を滅ぼす為、私はそれを阻止して世界に平和をもたらす為に使えと、神託を得たのです」 「……最初は命をかけて魔王を倒し、世界は平和になりました。ですが魔王を倒してからまた人と人との争いが増え、王国の王は強大な力を持つ私の存在が脅威になり、私を適当な理由をつけて反逆罪にし処刑しました。 当時の私はもうすっごく絶望しましたよ、私はこんなにも人間に尽くしてきたのに、裏切られるなんて、ね。 当時の私をルールさんに見せたかったですねー、ルールさんああいうのお好きでしょう? ふふっ」 「……」 ルールは無視する。 「ああっと、話が逸れましたね。 えっとそれから百年たち、魔王と私は百年ごとに記憶を失って転生し続けました。一度神から【存在】の役割を託された者は、その託された役割をし続けなければならないんですよね、だから私も魔王も同じ結末を35回迎えたんです。 魔王は3回目程から記憶を保持していたようですけど……」 「私は今回の転生で何故か四歳の頃に始めて全てを思い出しました。幾度も転生し、魔王を倒し、人間に裏切られ殺される記憶を……」 リリスは手に一瞬力が入るも、すぐに力を抜いた。 「もう人間には愛想が尽きちゃいましたよ、私は平穏な日常を送りたかっただけなんですけどねー。 ……それから全てを思い出した私はこの運命に抗う為、ありとあらゆる知識を幼い頃から取り込み始めました」 リリスはルールに近づき、力が入ってないルールの手を掴み上げる。 「……!」 ルール一瞬驚き、リリスの顔を見る。 「そしてある時、王国の禁書庫に忍び込んだ時に、数多ある禁書の中に偶然貴方のことが書かれている本を見つけたんです……存在の龍神……【イロラスト・ルール】を……!」 「……フンッ、それでわえにィッ……!」 ルールは睨みつける。 芝居に付き合い自分を利用しようと考えたのだろう。 愛想が尽きた人間を滅ぼすために。 「はいっ♪私は何があっても諦めず、足掻いて足掻いて勝利を掴み取る、そしてどれほど強さを増しても変わらず、高みを求め続けるルールさんのお姿に私は……」 リリスは俯き、肩をプルプルと震わせる。 「惚れてしまいました……!!」 リリスは顔を赤らめながらルールをちらちらと見る。 「はァ……?……意味がわからんのだがァ……」 ポカーンと怒りを忘れて思わずルールは口を開けてしまう。 「それから私はルールさんを復活させる為頑張りました……ルールさんに合う体選びをしたり、ルールさんと同じ種族のドラゴンを世界をかけて探しだし、遺跡で今日まで育てて、復活したルールさんのご飯のために用意したり、強大な聖剣の力を少しずつ弱めてボロボロのルールさんでもでてこられるようにしたりと……私は今日まで頑張ったのですよっ……!!」 リリスは目をウルウルさせ、今までのことを振り返る。 「……ァ?はァ?体選びってェ……ドラゴンってェ……どういうことだァ……?」 いきなりのことでルールは頭に?を浮かべる。 「ルールさんの今乗っ取っている体!私が用意したんですよ!ルールさんの為にノエラさんと友達になり、絆を深め……探検家になるよう誘導しました!一番苦労しましたよ……!ノエラさんは自分の膨大な力に気づいてなかったようですが、私たちにも劣らぬ力を持っていました。だからルールさんの力にも耐えれるはずですよ!」 リリスは自身のしたことを嬉しそうに語る。 全然気づかなかったぞォ……。 ルールはノエラの隠された力には全く気づいていなかった。 「き、貴様がわえの飯を用意しィ、聖剣の力を弱めたのかァ……?」 ルールは聞き間違いではないのかもう一度リリスに聞く。 「はい!14年間かけて育てました!ドラゴンの成長って早いですよねっ!美味しかったですか?あ、聖剣もかなり弱めましたよ?弱めてなければ後3000年は出れなかったでしょうね」 「さァ、3000年ッ……!?あァ……美味かったぞとってもなァ……」 ルールはさっきから驚いてばかりだ。 「ルールさんお願いです……私もルールさんの人生に付き合わせてください……!私なら足手まといになりませんし、何でも用意できます!後私勇者ですから!」 リリスは真剣にルールの目を見る。 ルールはというと……。 コイツと一緒にいたらダメだァ……! 我の勘がそう告げているゥ!! 事実、リリスのペースに呑まれ、ルールはルールらしさを無くしている。 ……頭のおかしい奴のことだァ、我は拘束されている以上逆らったら何されるかわからん……!どうすればァ!……ん? 手が動かせるようになっている。 ……!! 「勇者よォ……」 ルールはリリスを見る。 「なんでしょう?私のことはユラと呼んでください!」 リリスはニコニコしている。 「わえについていきたいのならなァ……わえと闘えェェェェェ!!そして勝ってみせろォォォォッ!!!!!」 リリスに掴まれた片手を解き、力で風圧を起こしリリスを吹っ飛ばす。 ブオワァァァァッ!!! 「ッーー!?」 リリスは驚きながらも華麗に着地し、ルールの方へと向く。 「……やっぱり闘わなくちゃダメですか……?」 リリスはルールにおそるおそる聞く。 「そうだァ!!龍族は欲しいものがあったら闘いで手に入れてきたァ!!わえが欲しいならわえと闘いわえに勝てェッ!!」 「わかりました……全力でいきますよルールさん……!」 リリスは剣を取り出し、振るい構える。 「そうだァ!それでいいィ!今一度貴様の名を聞いておこうゥッ!!」 ルールはニヤリと笑う。 「私はリリスアラ・ユラです!「存在」の勇者でもありますっ!」 リリスは戦いの前だというのに元気よく答えた。 「ではリリスゥ!勝負だァァァァァァァッ!!」 ルールは唸りを上げ、リリスめがけて突っ走る。 「ユラって呼んでくれないんですかー!?」 リリスもルールめがけて走り出す。 「呼ばんわァァァッ!!!」 ーーー歴史史上最も馬鹿げた勇者対龍神の闘いが始まったのであったーーー ーーー 「はい、リリスアラ・ユラです!」 「私とルールさんが大激戦!!この闘いには絶対に負けたくありませんっ!」 次回「これが存在の勇者の力!龍神vs【存在】の勇者!!」

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