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感情世界ナノ
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囚われた時の中で 第3話「勇者になる覚悟」

前回のお話 https://appli-maker.jp/page_apps/114440 ーーー宿屋 部屋の中に戻った私たちはソーラァをベッドに寝かせる。 「リーネ、回復魔法をお願いします」 「任せなさい!……すぅ……」 リーネは深呼吸をし、目をカッと開いた。 「ーーこの世を照らす光の神よ ーー奇跡の軌跡を我が身に宿し ーーーこの者に癒しをッーー! ルークス・ステラッエ・クラル!」 リーネの右手が光り輝き、ソーラァの全身に温かな光が包まれていくと、瞬く間に失った腕や傷が再生し、癒えていく。 「わぁすごーい!これが聖女の力なんだ!初めてみたー!」 アリアはキラキラと目を輝かせながらソーラァが治療される姿を見ていた。 リーネは本当にすごいと思うよ。 回復魔法を極めた私でも腕の再生は30秒ほどかかるけど、聖女であるリーネは10秒もかからないくらいだからね。 歴代聖女の中でも群を抜いて能力が高いと評されるほどだ。 その域に達するまでいかにリーネが努力してきたか……私にはよくわかるよ。 私がリーネが治療する姿を後ろから見ていると、ソーラァを包み込んでいた光が止んだ。 どうやら終わったようだ。 「終わったわよ。 聖女の私が言うのも何だけど、よくこんなに傷だらけで生きてたものだわ。 化け物じみた生命力よ、この子。 さすが勇者ってところね」 「すぅ……くぅ……」 ソーラァは安らかな息をしている、私はソーラァを無事救えたことに安心して一息ついた。 「良かったです、ありがとうございますリーネ。ソーラァさんを治療してくれて。 私の治癒能力じゃ助けれなかったかもしれません」 私はリーネの前に立ち、お辞儀をした。 「いいわよ別に。 私は聖女として当然のことをしたまでなんだから。 ほら、顔をあげなさい」 リーネはそう言いながらも機嫌が良さそうだ。 「また今度、そちらの方にお礼に伺いますね」 「!……じゃあ待ってるわ、またいつか決まったら連絡してちょうだい。 その日は開けておくから」 「はい、わかりました」 私がリーネと約束をすると、後ろでアリアが不思議そうに勇者を見ていた。 「それにしてもさぁ、こんな傷だらけで勇者は何してたんだろ?」 アリアはふと疑問に思ったことを口にだした。 「おそらく……ディザスタードラゴンと戦ったのかもしれません」 「ディザスタードラゴンですって!?」 「ディザスタードラゴン??」 驚くリーネと違い、アリアはぽかんとした顔をしていた。 「知らないのアリア!?この世界に災厄をもたらす最強最悪と呼ばれるドラゴンよ!」 「ええ!?そんな危険なドラゴンと戦ったの!?」 リーネの説明にどれほどの魔物か理解したアリアは、ものすごく驚いた顔をした。 「そうよ、でもどうしてフィルがそんなこと知ってるの?」 「実は……勇者ソーラァさんとは1ヶ月前に出会ったのですが……。 彼女がゴブリンの群れに襲われているところを助けたのですが、何故か彼女に勇者みたいだと憧れられまして、元は勇者などやる気がなかった村民の彼女にやる気を与えてしまったんです」 「へぇ、勇者のやる気を引き出すなんて流石フィルね。いいことじゃない?」 「いえ、私としては不都合でした。 私は……あの子に勇者になって欲しくありませんでしたから。 ただの村民のまま過ごして欲しかったですが、ソーラァさんの勇者になる決意は既に固く、私がどう話そうとも彼女の意思は少しも揺るぎませんでした。 だから私は彼女のその心意気を信じ、勇者になるための試練を出しました」 「試練……まさかそれでディザスタードラゴン討伐を!?流石に無茶じゃない!?」 「私も無茶だとは思います……ですがディザスタードラゴンくらい倒してもらわないとそれより遥かに強い魔王を倒すことなどできません。 私としては討伐を諦めてただの村娘に戻って欲しかったのですが……この傷を見るにディザスタードラゴンと戦った、までは分かりませんが勇者になろうと最後まで努力したのは理解できます」 「なるほどね……じゃあ見てみる?この子に何があったのかを」 ソーラァとの話を聞いたリーネは提案する。 「え、できるのですか、そんなこと?」 「ふんっ!聖女であるこの私を舐めないでよね!余裕よそのくらい」 リーネは腕を組み自信満々の表情を見せる。 「じゃあ、お願いします」 「任せなさい!じゃあやるわよ!」 リーネはソーラァの頭に手を乗せ、聖なる力を発動させる。 「ーーこの世を照らす光の神よ ーー奇跡の軌跡を我が身に宿し ーーーこの者の足跡を写しだせッーー! サンティエ・メモワール! キラキラと煌めく光がモニターのような形になり映像が映り出す。 ーーー ーー1ヶ月前 あの人と別れてからすぐアタシは走り出した。 強くなって、強くなって、あの人に認めてもらうために。 道中に出くわした魔物は全部ぶっ倒した。 斬って 殴って 蹴って ぶった斬って の繰り返し。 1秒1秒、無駄な動きは削ぎ落とす。 どうやって、いかに速く倒せるかだけを考えて。 魔物への恐怖心は不思議となかった。 勇者の自覚が出たからか、アタシの剣は一切の迷いもなく魔物達を薙ぎ払っていった。 更なる強敵を求めて、アタシはただひたすらに草原を駆ける。 走っても走っても、どれだけ戦っても全然疲れねぇ。 村の畑の手伝いやってたからかな? 今なら何でもやれそうだ、絶対に勇者になってやるぜ……! あれから三日ーー アタシは草原を越え、森を越え、洞窟へと辿り着いた。 アタシは昔から勘が鋭かった。 そのアタシの勘が告げている、この洞窟に強そうなヤツがいるとーー アタシは洞窟に入り、一回も立ち止まることなく敵を倒しながら、最深部へと待ち受ける強敵の元へと駆ける。 最新部へと辿り着くと巨大な二足歩行のドラゴン……いや、トカゲか? わかんねえな……ドラゴンもどきって呼ぶか。 「ガァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」 アタシがそう考えていると羽のないドラゴンがアタシの体をビリビリと痺れさせるような咆哮を上げた。 これだけでわかる……! コイツ……今のアタシより強い……!! だけどーー 「羽もねぇドラゴンもどきに負けるわけにはいかねえんだッ!!あの人に認めてもらうためにッ!!」 ソーラァはそう言って飛び上がり、ドラゴンもどきの顔面に突っ込んでいく。 「だぁっ!!」 ソーラァは聖剣を振り、ドラゴンもどきの首をぶった斬ろうとしたがーー ーーードラゴンは瞬く間に消えた。 ドラゴンが消えたーー!? 「なっーー!?どこにいきやーー いつの間にかソーラァの背後にドラゴンもどきがいた。 「ガァッ!」 ドラゴンもどきは勢いつけてぐるっと回転し尻尾を振り回してソーラァにぶつけようとする。 「ちっ……!」 回避は間に合わなねぇ……! なら……! ソーラァは瞬時に腕をクロスさせ防御体勢に入る。 ドラゴンもどきの尻尾がソーラァに直撃する。 直撃したソーラァの体がミシミシと悲鳴をあげる。 ッ……!重くのしかかる衝撃……! ぐっ……!頭おかしいんじゃねえかッ……! 直撃したソーラァは岩壁へと吹っ飛ばされ、岩壁はガラガラと崩れ落ちソーラァは崩れ落ちた岩に埋もれた。 チィッ……身体中が痛え……だけどこんなドラゴンもどきに時間をとるわけにはいかねえッ……! あの人に勇者と認めてもらえるようにッ……!! ソーラァは埋もれた岩場から立ち上がり、強く聖剣を握りしめる。 「へへ……それに今のでわかったぜ……。 テメェを倒す方法がよォッ!!」 ソーラァは力を全開にし、ドラゴンもどきに再び駆けていく。 「はあぁぁぁぁぁぁッ!!!」 迫ってくるソーラァにドラゴンもどきは不敵な笑みを浮かべる。 自分よりソーラが弱いと確信し、先ほどと同じように避けてからソーラァに一撃かましてやろうとする。 「くらいやがれェッ!!」 ソーラァは飛び上がり、ドラゴンもどきの首目掛けて再び剣を振るう。 ドラゴンもどきは瞬く間に避け、再びソーラァの背後をとり、今度は爪で切り裂こうとするがーー ーードラゴンもどきの右手が吹っ飛んだ。 ソーラァに斬られたのだ。 「もうソレはアタシに通用しないぜ、ドラゴンもどきさんよォ!!」 「グガァァァァァァァァッァァ!!?」 ドラゴンもどきは右腕を押さえながら咆哮を上げる。 一体何をしたのかとソーラァを睨みつける。 なぜ自分よりも確実に劣るソーラァが自分より早く動けたのかーー 「もっともっとぶった斬ってやるよ!」 ソーラァは逃すまいと更に追撃をかまそうとするが、ドラゴンもどきは炎のブレスを吐いた。 ブレスはソーラァを飲み込むがーー 「効かねぇッ!!」 ソーラァは聖剣を一斬りするだけで、周囲のブレスは掻き消えた。 ソーラァは着地する。 「ーーー!ちっ、どこ行きやがった!」 しかしドラゴンもどきの姿はどこにもなくソーラァが辺りを見渡していると、ソーラァを包むかのように影が大きく飲み込んでいく。 ソーラァはハッとして上を見上げると、上空からドラゴンもどきがソーラァを踏み潰そうと全体重をかけ、落下していた。 これでこの人間は終わりだ お前の力では躱すことも受け切ることもできない ドラゴンもどきは勝利を確信した。 上空から迫るドラゴンもどきに、ソーラァはドラゴンもどきを冷静に観察していた。 アイツの目、勝利を確信した目だ。 アタシが抗えず敗北するとあのドラゴンもどきは思っている。 確かに、今のアタシじゃそうかもな……。 テメェの想像通りだよ……。 「ーーーだけどな、アタシはディザスタードラゴンを、魔王を倒す勇者となる女だ!! テメェの想像するアタシなんかぶち超えてッ!!お前をぶっ倒す!!」 ソーラァがそう言った瞬間、ドラゴンもどきはソーラァを踏み潰す。 人間は何か言っていたがそんなことはどうでもいい。 自分の右手を落とした人間に勝った。 その結果が、それだけが大事なのだ。 「グオォォォォォォォッォォォォォォンッ!!」 ドラゴンもどきは声高々に勝利の咆哮をあげた。 するとふと、ピシッと何かが裂けるような音がした。 下からだ。 ドラゴンもどきは何事かと下を見る。 するとーーードラゴンもどきの両足がひび割れていた。 ドラゴンもどきが違和感に気づいた時にはすでに遅く、両足から全身へとヒビは広がりーー 「グ、グォーー 黄金の光が次々と漏れていきドラゴンもどきは爆散する。 血の海が雨となって降り落ちる。 爆散したドラゴンもどきの中からはソーラァが剣を高くかざした状態で佇んでいた。 ドラゴンの血が降りかかり全身が真っ赤に染まる。 「……言ったろ?お前をぶっ倒す、ってな」 ソーラァは素早く聖剣を振るい、血を払い鞘にしまう。 ソーラァは洞窟から抜け出すため、休むことなく再び走り出した。 ーーー 「何よこれ……あの魔物ってリザードラゴンよ? リザードラゴンは翼を失って飛行能力を失った代わりに戦闘能力に特化した上位種のドラゴン……。 並のドラゴンとは比較にならないほど強いのよ」 「そのドラゴンを1人でああも簡単に倒すとは……。 このドラゴンを倒すまでに3日、こんな僅かな時間でここまでの力を身につけるなんて……。 しかも本当に毎秒強くなっています。 一撃受けただけで動きを最適化し、ドラゴンに攻撃するフリをするをしてフェイントをかまし、ドラゴンが避けてから攻撃するまでの間を対応できるようにしていました。 最後の一撃はドラゴンの力を完全に上回っていましたし……ソーラァさんの成長スピードは異常ですね……」 今まで世界を繰り返す中で勇者という存在は何度も見てきたけど……ここまで成長の速い子は初めてだ……。 もしかしたらソーラァには魔王すらも容易く倒せるほどの潜在能力が眠っているのかも……。 「それにこのソーラァって子、一度も休まずに戦いっぱなしだよね……!? 果物やきのみを食べながら戦ったりしてずーっと走ってる! それなのにあんなに力を出せるものなの……?私は無理だよ絶対!」 「これが勇者なのよ……なんたって魔王の対となる存在だからね。 私もここまでとは思わなかったけど……」 「私が無茶難題を出したばかりにソーラァさんに眠る勇者の力を引き出してしまったわけですか……」 私のせいでソーラァは……私はどうするべきだったんだろう。 「フィル、貴女が気にする必要なんてないわよ。 貴女は貴女なりに彼女を守ろうとしてたのだし、それに彼女は勇者よ。 勇者は魔王を倒す使命がある、それは決定づけられた運命なの。 だから貴女が気に病むことはないわ」 落ち込んだ気持ちが顔に出てしまっていたのかリーネに励まされてしまった。 決定づけられた運命……か……。 私はじめじめとした薄暗い気持ちを無理矢理切り替え、2人に笑顔を見せた。 「そうですね……こんな顔見せちゃってすみません、2人とも」 「あはは、フィルには笑顔が1番だよ!」 「ふふっ、さ、続きを見ましょうか。 時間も遅くなってきたし、2週間くらい飛ばして見ていくわね」 「はい、お願いします」 ーーー15日 「……」 アタシはディザスタードラゴンがいると言われるザラディアル山に来た。 聞くところによるとこの山は、ディザスタードラゴン以外にも上位の剣士や魔法使いでも苦戦するような強い魔物が多く住み着いているらしい。 よーし……決めた。 さっさとディザスタードラゴンを倒す予定だったが、この山にいる魔物全部倒してから挑むとするか! ソーラァは剣を抜き、力を全開にする。 そして、地を蹴って山の中心まで閃光のようにぶっ飛んでいく。 蹴った地面は大きくひび割れ、ソーラァが通った場所は台風が来たのかと思うほど吹き荒れた。 2週間前の自分に見せてやりたいぜ、こんなに強くなるなんてきっと腰抜かすだろうなぁ過去のアタシ。 お、周囲にいる魔物たちが異変に気づいたようだ。 いいぞ、もっとアタシを見ろ! そうしているうちにソーラァは中心にたどり着き、スピードを殺すため地に足をめり込むほど踏ん張り、立ち上がる。 アタシは辺りを見渡して山に響き渡るように声を上げた。 「聞けッ!!魔物どもッ!!アタシはソーラァッ!!お前らを全員ぶっ倒す勇者だ!! 勇者の首を取りたい奴からかかってきな!!」 アタシはそう言った後勇者の証である聖剣を掲げた。 「グゥルルルル……!!」 「ガアァァァァァッ……!!」 「グオォォォォォォッ……!!」 おー!わらわらと強そうな魔物どもが集まってきやがった! 何体いるんだ? 10……20……50、いや100体以上……。 ……あーもう!数えるのがめんどくさくなってきた! 「倒しながら数えていけばいいかッ!!」 アタシが剣を構えると、一斉に四方八方から魔物達が襲い掛かってきた。 「グゥルルルルアアッ!!」 「はあァッ!!」 オオカミのような魔物が噛みつこうとしてきた。 それをアタシは真っ二つにぶった斬る。 ぶった斬ったオオカミの背後から鬼のような魔物が殴りかかってきた。 背後からは巨大な鳥型の魔物も迫ってくる。 「「聖技」オーバーライトブレード!!」 アタシは聖剣に黄金の光を纏わせ、刀身を太く、大きく伸ばす。 そしてありとあらゆる方向から襲いかかってくる魔物達を勢いよく一回転し、薙ぎ払う。 辺り一体は輝かしい光に飲み込まれ、魔物達は消滅していった。 「アタシの命、簡単に取れると思うなよ?」 ーーー 「2週間であの山のモンスターを簡単に倒せるくらい強くなったのですかッ……!?」 「きゃっ!?いきなり大声出さないでよ、フィル!」 横にいたリーネは私の声に驚いてビクッと体を震わせた。 「す、すみません、ソーラァさんの成長速度が予想以上すぎて……」 あまりにもソーラァの成長速度が速すぎて声が出てしまった……。 いやね、私の予想はベルガーナ(リザードラゴン級の魔物がゴロゴロいる上位の冒険者じゃないと行くことすらできない場所)辺りの場所で修行しているのかなーっと思っていたんだよ。 そしたらまさかのザラディアル山ッ……。 リザードラゴンで例えるならあの山の魔物は1体1体がリザードラゴン10体分の強さ! それをたった一回の技で周囲の魔物を残滅しちゃうなんて、単純な強さだけなら私と同じくらいの強さじゃないもう? 「あはは!久しぶりに見たよフィルが驚くところ!」 私が内心パニックになっていると、アリアはニコニコと私の顔を見て笑っていた。 やめて恥ずかしいです。 「私は初めて見たわ……貴女の驚く顔。 いつもすまし顔だから新鮮だわ……。 フィルってそういう風に驚くのね」 リーネにはじーっと観察するように私の顔を見てくる。 そろそろ私の顔恥ずかしさでゆでダコになってない? 「さ、さあ続きを見ましょうよ。 ソーラァさんがどうなったか気になりますし」 「そうね、見ましょうか。 また貴女の新しい表情が見えるかもしれないし♪」 笑顔でリーネは答える。 あの、私の顔ばかり見ないで映像見ようね。 「リーネ早く続き見ようよ!ソーラァがどうなったか気になるし!」 アリアははやくはやくと急かすようにリーネに言った。 「はいはい、分かったわよ。勝敗まで飛ばすわね」 ーーー よろよろと何とか立つ。 「はぁ……はぁ……」 5日間に渡る激闘の末、勝ったのはアタシだった。 元々荒れ果てた山だったが何百何千もの魔物の死体で埋め尽くされ、どこを踏んでもぐちゃぐちゃと気味の悪い音が立つ。 そのせいで上手くバランスが取れない。 「次は……ディザスタードラゴンだ……ヤツを倒さないと……」 フィルは頂上にいるとされているディザスタードラゴンの元へと向かおうと歩き出したがーー 「あれ……」 ソーラァは一歩足を踏み出した途端、膝から崩れ落ちてしまった。 「ははは……マジかよ……やべぇ……体が……動かないや……」 ソーラァは完全に倒れてしまった。 今までになかった眠気が襲いかかる。 「……こんな……とこ……で……ね、る訳には……」 ソーラァは力を振り絞り立ち上がろうとするが、力が入らない。 「いか……な…………だ………」 ソーラァは気を失った。 ーーーー ○日後ーー 「はっ……!」 ソーラァは目が覚めた。 素早く体を起こし、周囲の状況を確認する。 確か……アタシは魔物どもをぶっ潰してモンスターの死体の山で気を失ったはず……。 アタシが気を失っている間、特に何も起きてないようだな……。 まぁそれもそうか、アタシが危険な奴は全員ぶっ倒したんだし。 ソーラァがそう考えていると背後から声が聞こえた。 『目覚めたか、勇者よ』 「ーーー!? 誰だ!」 ソーラァは聖剣を抜き戦闘態勢に入り、一瞬で距離を取る。 『私は……そうだな、お前達の呼び名に合わせるならディザスタードラゴン、とでも名乗ろうか』 「ディザスタードラゴン!?お前がかッ!?」 厄災を起こすドラゴンと聞いたからもっと厳ついのを想像していたが……厄災とは縁がなさそうなくらいキレイな姿をしていた。 『何だ、なぜそんなに驚いている?』 「フフッ……いや厄災のドラゴンと聞いたからどんな奴が出てくるかと思えばこんなキレイな奴が出てくるなんてよ、ビックリしちまった」 『この私にそんな事を言った人間はお前が初めてだ。 名は何という?』 「あたしの名はカレッジ・ソーラァ、勇者だ」 『いい名だ、カレッジ・ソーラァ。 さて、この場に人々を守る勇者と人々を害す魔物が対峙していたらするべき事は1つ』 「『殺し合いだ』な」 2人は不敵な笑みを浮かべながら言い放った。 その瞬間ーー2人は戦闘態勢に入り強烈な殺気が溢れ出る。 「はあぁぁぁぁぁぁッ!!!」 『ヴオォォォォォォッ!!!』 2人は真っ正面からぶつかり合う。 強烈な頭突きをお互いにかまし合い、どちらも一歩も引けを取らない。 痺れを切らして先に攻撃したのはソーラァだった。 「おらァッ!!」 ソーラァは数歩分ほど引いてディザスタードラゴンの翼をぶった斬ろうとするがーー 『フンッ!甘い!』 ディザスタードラゴンにひらりと避けられ、突進を喰らう。 「ッゥ……!!」 ソーラァは突進をくらい吹っ飛ばされるもクルクルと回転して体勢を立て直し、足に地をつけ踏ん張る。 「くっ……!」 ソーラァが前を見るとディザスタードラゴンのブレスが前方から迫っていた。 「チィッ!オーバーライトブレードッ!!」 聖剣に黄金の輝きを纏わせた剣でブレスをぶった斬って掻き消す。 「! アイツどこ行きやがった!」 ソーラァはディザスタードラゴンを見失った。 『ここだ!』 ディザスタードラゴンに右方向からタックルをモロにくらって聖剣を離してしまい、聖剣は回転しながら地面に突き刺さった。 「ッーー!痛ってええなぁッ!」 『ム……!』 タックルを受けながらも、ソーラァはディザスタードラゴンの首を両手で掴みーー 「うおらぁぁぁぁぁッ!!!」 そのまま掴んだ状態で着地し、ディザスタードラゴンをぶん回し、地面に投げ飛ばす。 『グゥッ……!』 ディザスタードラゴンは地面に衝突し、土煙が上がる。 「来いッ!聖剣ッ!!」 ソーラァが手を前方に出すと地面に突き刺さっていた聖剣が猛スピードでソーラァの手元へと戻った。 「「聖技」オーバライトスラッシュッ!!」 ソーラァは更にオーバライトスラッシュを撃ち放つ。 ディザスタードラゴンの元に放たれた技は直撃し、大爆発が起きる。 「手応えあり、だぜ……!」 ソーラァはディザスタードラゴンがどう動くかじっと観察し、待ち構える。 やがて土煙が晴れ、ディザスタードラゴンの姿が見える。 『やはり強いな勇者という存在は。 この私に傷をつけるとはな。 やはり戦いというものはこうでなくては面白くない』 ディザスタードラゴンの体には切り傷がついていた。 「ああ、アタシもそう思う」 ソーラァも好戦的な笑みを浮かべる。 『では、準備運動はこれくらいにして本気で殺りあうとするか』 「何っ……?」 ディザスタードラゴンから力が溢れ出す。 暴風のような風圧が吹き荒れ、ソーラァは何とか踏み堪える。 「くぅっ……!!」 ウソだろ!?なんてパワーだッ……! さっきまでのヤツなら今のアタシでも何とかなりそうだったが……やばいなこれは……。 ちょーっと勝てるか分かんねえぞー……? ソーラァは相手に悟られないよう、笑みを崩さないようにしながらも冷や汗を掻く。 「いや……何弱音を吐いてるんだアタシは……!勝てるかどうかじゃない勝つんだッ……!! アイツに勝ってあの人に認めてもらう! アタシという勇者をッ!!! うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!!」 ソーラァは自分を奮い立たせ、負けじと力を全開に出す。 「行くぞッ!!ディザスタードラゴン!」 『こいッ!勇者よッ!!』 ソーラァはディザスタードラゴンに超スピードで急接近しながらも聖剣をぶん投げる。 『勇者最大の強みである聖剣を投げるとは血迷ったか!』 ディザスタードラゴンは避けながらもソーラァ同様超スピードで向かって行く。 「血迷ってなんかッーーねえよッ!!」 ソーラァは右拳に黄金の輝きを纏い、ディザスタードラゴンの顔面をぶん殴る。 ーーが 『聖剣のない勇者など赤子同然よ』 「なっ……!?」 効いてねえだと……!? 『ガアァァァァァッ!!』 ディザスタードラゴンは口から巨大な火球を作り出し、放とうとする。 「ッ!マズイ!」 ソーラァは急いで距離を取ろうとするが、何かに引っ張られてる動けなかった。 足元を見ると右足がディザスタードラゴンの尻尾に巻きつかれているのだ。 「チッ……!」 ソーラァは回避は間に合わないと判断し腕をクロスさせ防御態勢に入る。 『カァッ!』 ディザスタードラゴンは巨大な火球を撃ち放ちゼロ距離でソーラァに命中する。 盛大な爆発が起き、黒煙に包まれる。 その数秒後、ディザスタードラゴンとソーラァが黒煙を突き抜けて出てきた。 「うおぉぉぉぉッ!!!」 ボロボロになりながらもソーラァはディザスタードラゴンの腹部を捩じ込むように蹴りながら、近くの岩に吹っ飛ばす。 『フンッ!』 ディザスタードラゴンは岩に衝突しながらも、魔法を使う。 「ッ!?何だ!?」 いくつもの魔法陣がソーラァを囲むように現れ、魔力で生み出された球体の魔法弾がソーラァに襲い掛かる。 「アンタドラゴンの癖に魔法も使えんのかよ!?」 『”ドラゴンだからこそ”使えるのだ。 さあ、これをどう裁く?勇者よ!』 「ーーー!」 四方八方から魔法弾がソーラァに襲い掛かり、大爆発が起きる。 しかしーーソーラァの姿はどこにも見当たらない。 『ーーそこかッ!!』 ディザスタードラゴンは無数の魔法陣を移動させながら、少し離れた地面に魔法弾を放つ。 地面が壊れ、ソーラァが中から出てきた。 ソーラァは地面を殴って穴を開け、地中に潜り距離をとっていたのだ。 ソーラァは休むことなく放たれる魔法弾から走って逃げる。 「くっそォッ!アタシは魔法が使えねーんだぞ!卑怯じゃねーか!」 『卑怯ではない、私が余すことなく自分の力を相手に見せるのは寧ろ敬意を表しているのだぞ。 お前のことはずっと見ていた、お前が勇者になったその日からな』 そう言いながら、ディザスタードラゴンは上空から勢いよくソーラァを踏み付けようとするが紙一重で避けられる。 「くっ……!アタシの事を見てただって?何でさ!」 ディザスタードラゴンに攻撃しようとするが、ディザスタードラゴンの攻撃とその背後からは無数の魔法弾が撃ち放たれ続けているため、防戦一方だった。 『私は昔から勇者という存在に興味があってな。 一度戦ってみたかったのだが、今までの勇者は私を恐れて挑みにきたことはなかったのだ。 だからお前のような戦意を、殺意を向けてくるような強き人間がきて私は心から喜びに満ち溢れている! だからお前が目覚めるまで待っていたのだ! どちらが優れているか決着をつけるためにな!』 「なるほどな……!残念ながらアタシの方が強いぜ!」 『攻撃に転じれてないお前に言われても説得力はないな』 「ハッ!今から転じるんだよォッ!!!」 ソーラァは全身に黄金の輝きをを纏いーー ーー渦を巻くように燃え上がらせる。 『気合だけではどうにもならんぞッ!』 ディザスタードラゴンは右足の鋭い爪で切り裂こうとするがーー 「はぁッ!!」 ソーラァは左腕で攻撃をいなし、右手でドラゴンの胸部を殴る。 『だから効かんと言っているだろうッ!』 ディザスタードラゴンはソーラァを尻尾で締め上げる。 「ッーー!?し、しまった……!ぐあぁぁぁぁッ……!!』 『これで終わりだ、私の勝ちだ、勇者よ!』 締め上げたソーラァを魔法弾の方へと向け、魔法弾を撃ち放つ。 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」 「ーーーなんてな」 魔法弾はソーラァには当たらずズレるように別方向へと飛んでいった。 『何っ!? ハッ……!まさかその渦巻き溢れ出る力で魔法弾の方向をズラしたのかッ!』 「そういうこった!もう効かねえぜアンタの魔法弾は!」 してやったりと笑うソーラァ。 『ならば締め殺すまで!』 「ッ!ぐぅッ……!!」 ギチギチとディザスタードラゴンはソーラァを締め上げる。 「ッ……全然痛くねえなァ……! 厄災を呼ぶドラゴン様の力はそんなもんか……?」 ソーラァは舐めたような態度をとりながら笑った。 『フッ……では望み通りにしてやろうではないかッ……!お前を絞め殺した後、跡形もなく雷で消し炭にしてやろう』 ディザスタードラゴンは尻尾を更に伸ばし、ソーラァを締め上げたまま高く上げる。 「ぎっ……!ぎゃあああああああッ……!!!」 『今度こそ終わりだ!勇者よ!』 「ッ……!!」 今だッ……!! 「聖剣よーーーーーーッ!!!!!」 『ッ!?』 背後から聖剣が先ほどよりも速いスピードでソーラァの元へと向かい、ディザスタードラゴンの尻尾をぶった斬る。 『ガアァァァァァッ!?』 「くっ……!」 尻尾から解放されたソーラァは聖剣を手に取りーー 「「聖技」オーバーライトブレードォォォォォォッ!!!!!」 『グオォォアァァァッ!?』 すかさずディザスタードラゴンの胸部を大きく斬りつけ、吹っ飛ばした。 「はぁ……はぁ……作戦、成功だぜ……! 最初は翼を切ってやろうかと思ってたが……アンタのその無駄に伸びる尻尾がウザいからな……斬ってやったぜ! どうだご自慢の尻尾を勇者に斬られた感想は!」 『ガフッ……この私がここまでのダメージを負わせられるとは……』 ディザスタードラゴンはよろよろと立ち上がりながら言った。 『見事だッ……!勇者よ……いや、カレッジ・ソーラァよ! 私はお前に敬意を表すると言ったが、まだ実際お前のことを見下していた部分があったようだ……。 だから私は深傷を負ってしまった……。 もう見下すことも慢心もせん、私の全てをお前にぶつけ私が勝つ。 生物として頂点に君臨するのはこの私だと見せてやろう!』 「それは無理な話だな、アタシはアンタの君臨する姿を拝むことはできねえ。 なぜなら、アタシがアンタの更に上に君臨する勇者だからだッ!!」 『フフフ……面白いヤツだな、お前は』 「アンタこそ……人間で出会っていたらいい仲間になれたかも知れねえのに惜しいぜ」 そう言って2人は戦闘態勢に入る。 「行くぞッ!ディザスタードラゴン!」 『来いッ!ソーラァよッ!』 待ち構えるディザスタードラゴンにソーラァは接近しーー 「「聖技」オーバーライトブレードッ!!」 オーバーライトブレードをぶつけようとするが、右足の爪で受け止められる。 「何で斬れねぇんだッ……!!」 『全魔力を一点に集中すればいくら勇者の技とはいえ受け止められる! そしてッーーー!!』 ディザスタードラゴンはそのまま聖剣をいなしーー 『これは攻撃に転じることもできるッ!!』 今度は頭部に全魔力を集中させソーラァの腹部を突き上げるように頭突きした。 「がはァッ……!?」 あまりの強さにソーラァは上空へと吹っ飛んでいった。 ディザスタードラゴンはすかさず飛び上がり、ブレスをソーラァに向かって吐いた。 「ぐっ……!「聖技」オーバーライトスラッシュッ!!!」 ソーラァは体をひねるように回転しながら撃ち放ち、相殺させる。 ソーラァの背後で日差しが強くなる。 ソーラァは何事かと後ろを見るとすぐそこに魔法弾が迫っていた。 「しまっーーー!」 ソーラァは受身をとる暇もなく魔法弾を受け、大爆発が起きた。 黒煙が上がる。 『ゴオァッ!!』 ディザスタードラゴンは油断せず超巨大な火球を撃ち放つ。 すると黒煙からソーラァが上から抜け出し火球を躱した。 「「聖技」オーバーライトッーーー!」 『させんッ!!』 ディザスタードラゴンは自身の背後から魔法弾を無数に打ち出した。 「チッ!効かねえって言ってんだろがよ!」 ソーラァは自身を包むように力を出し、力の流れが渦を巻くようになる。 そのままディザスタードラゴンに突っ込んでいく。 ソーラァに向かう無数の魔法弾はズラされ、別方向へと飛んでいく。 『私が何も考えず撃っていると思うかッ!』 「何ッ!?」 『お前が受け流すのなら受け流しても意味をなくせばいい、周りをよく見てみるのだな!』 「ーー!考えやがったな!」 周囲を見渡すと、受け流した魔法弾が融合し2回りほど大きくなった魔法弾が密集していた。 『いくらお前が受け流そうと誘爆してしまえば意味はなくなる! さあどうする!ソーラァよッ!!』 そう言ってディザスタードラゴンは咆哮を上げ、魔法弾がソーラァに向かって襲い掛かる。 「ッーー! なら魔法弾そのものを無くしてやるよッ……!! 「聖技」オーバーライトブレードォォォォォォッ!!!」 ソーラァは魔物の群れを薙ぎ払った時のように、回転斬りをしようとするがーー 『させると思うかッ!!』 ディザスタードラゴンは自身に力を纏わせ、破壊光線を撃ち放った。 「ッ……!!」 やばいッ……! あの破壊光線、魔法弾どっちか対処しても、どっちかは絶対にくらってしまうッ……! くそッ……! 出力を更に上げればどうにかなるかッ……!? いや無理だッ……!今のボロボロのアタシじゃこの莫大なエネルギーは対処しきれないッ……。 アタシが悩んでいたその時、 手元でカタンと音がしたような気がした。 アタシは一瞬だけ聖剣を見る。 さっき聖剣がわずかに動いたような……。 いや……聖剣が動く……? はっ……!!そうだッ……! 「ッーー!ふんっ!!」 ソーラァは迫り来る魔法弾と破壊光線を見向きもせず天空へと黄金の輝きを纏わせたまま聖剣をぶん投げる。 『一体何をッーーー!』 聖剣は上空にある複数の巨大な魔法弾を貫き消滅させ、そのまま上空へと飛んでいく。 「聖剣よーーーッ!!!アタシを引き寄せろッ!!!」 ソーラァはそのまま一瞬で聖剣に引き寄せられ、襲い掛かる魔法弾が隙間を埋めるよりも速く通り抜けた。 ソーラァが聖剣を掴むと同時に破壊光線と魔法弾が誘爆し今までで1番大きい大爆発が起きた。 「あっぶねぇ……流石にアタシでもあれくらっちゃヤバかったな……」 『フフフ……いつもお前は予想外なことをするな』 「いやいやアタシよりも聖剣様々だぜ、アタシのスピードじゃあの隙間は潜り抜けられなかったからな」 『フン、勇者は聖剣込みで勇者と言えるのだ。 その聖剣を使いこなせている時点でお前の実力と言えるだろう』 「やけに褒めてくれるじゃねえか? 褒めても勝ちは譲らねえぜ?」 『そんなくだらない勝利などいらん、貴様を屈服させ完全に負かした時が私の勝利よ!』 「そうッーーかい!」 ソーラァはオーバラーライトスラッシュを撃ち放ちながらディザスタードラゴンに突っ込んでいく。 『そんなもの避けれーーッ!』 オーバーライトスラッシュを避けると前方から 1、2、3、4、5ーーー! 「避けれないくらいに撃ちまくってやるよォッ!!」 どんどんオーバーライトスラッシュを撃ち放ちながらソーラァは近づいてくる。 『そんなものッ!全部掻き消してくれる!』 とはいうものの先ほどの魔法弾と破壊光線で魔力は底をついてしまい、ディザスタードラゴンはブレスを放った。 『ガアァァァァァッ!!!』 ライトオーバースラッシュを掻き消し、向かってくるソーラァをブレスが呑み込んだ。 しかしーー! 『そんな弱っちい炎じゃスラッシュは止められてもアタシは止まらねえぜッ……!!!!』 『なんだとォッ……!?』 ソーラァは両腕で剣を振り上げーー 「ライトオーバーブレードォッ!!!!!」 ディザスタードラゴンの胸部を切り付けた。 『グッハアァァァァァァッ……!!』 「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ……!!!!!」 そのままディザスタードラゴンにタックルし、地面に高速で落下していく。 『グッ……タダでは、済まさんぞ……!』 「何ッ……!?』 ディザスタードラゴンはソーラァに噛みつこうとするがソーラァは左腕でガードする。 『グゥ……アアァッ!!』 「ぐあぁぁぁぁッ……!?」 ガードした左腕は噛みちぎられ、ソーラァは左腕を失ってしまう。 やがて2人は地面に衝突し、2人を中心に巨大なクレーターができた。 『ガ……ガアァ……!』 ディザスタードラゴンはよろよろと起き上がる。 全身は切り傷でズタボロ、胸部には十字のような切り傷が深くついており、口からは血をポタポタと垂れ流していた。 「……ぐ……!こっちは捨て身覚悟で攻撃したってのに……不死身かよバケモンがッ……!」 一方ソーラァも全身ズタボロ、服はボロボロに破け頭部からは血を流しており、更には左腕を失っている。 口から出た血を手で拭いながらフラフラと立ち上がる。 『フ、フフ……お前に勝つまで倒れるわけッ……ないだろう……! それに嬉しいぞ……お前が捨て身覚悟で攻撃してきたことがッ……! 勝利への執念がッ……!! 私もお前に勝つため……この身を捨てることになろうとも勝ってみせるッ……!!!』 「いいぜ……こいよッ……!! アンタの全てを受けきってアタシは勝つッ……!!」 『これが正真正銘最後の攻撃だッ……!! 受けるがいいッ……!!勇者ソーラァよォッ!!!』 そう言ってディザスタードラゴンは空高く、高く、上空へと飛び上がる。 『ナチュラル・ディザスター・エンド!!!』 上空に飛び上がったディザスタードラゴンがそう言い放った瞬間、夜空の色のような輝きに包まれた後、禍々しい紅の炎が燃え上がりディザスタードラゴンを燃やし尽くす。 「何だアレは……まるで隕石じゃねえかッ……!?」 『これがオレの奥義……。 この身を焼き焦がし、燃え尽くす代わりにこの世で最も絶大な魔力と力を持った隕石の力を手に入れることができる技……。 それが”ナチュラル・ディザスター・エンド”! 私は死ぬことは無いがあまりのダメージに再生が追いつかず、数百年は動けないことになるのが痛いところだが……ソーラァ、お前に勝てればそれでいい……!数百年くらい余裕で我慢できるものよッ……!!』 「なるほどな……じゃあアタシはそれをぶっ壊してアンタをぶっ倒すだけだッ……!!」 『では行くぞッ!受けるがいいッ……!!! カレッジ・ソーラァァァァァァァァッ!!!!!』 「ッーーーー!!! 「聖技」ライトオーバーブレードォォォォォォッ!!!!!」 ソーラァは飛び上がり、隕石となったディザスタードラゴンと衝突する。 激しく火花が飛び散りーーー ーーーやがてビチバチと雷が発生する 「うおおォォォォォォッ……!!!!!」 『ハハハハハッ!!!どうしたッ……!? 全然勢いが足りんぞッ……!ソーラァッ!!』 「くっ……!!」 なんてパワーだッ……!!びくともしねぇッ……! それにこの焼け付くような炎ッ……! 全身がドロドロに溶けてるかのように痛いッ……! 服や鎧が溶けて燃えちまってる……!! 早く終わらせねぇとアタシもただじゃすまねえ……!!! アタシの力よッ……もっと振り絞れッ……!! 「うおおォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」 ソーラァの黄金の輝きが更に増すが、それでもまだまだ届かない。 アタシを見ていたディザスタードラゴンは不敵な笑みを浮かべながら言った。 『……ソーラァッ!お前が負ければオレはこの地に落ちる……その意味がわかるな?』 「……ッ!?」 今モロにくらってるからよく分かるッ……。 もし、アタシが負けてこれが地上に落ちたら……。 この世界は消えるかもしれない……。 村のみんな……。 『ソーラァ!』 『ソーラァ姉ちゃん!』 『姉貴っ!』 『カレッジ』 オヤジ、母さん……。 「ソーラァ」 そして……アタシが憧れたあの人……。 『ソーラァさん』 フィル……。 アタシが負けたらみんな失うんだ……。 みんなっ……。 みんなっ……!! ……アタシはバカだ…… ……勇者として強くなって認めてもらうことばかり考えて、勇者として全く成長できてなかったよ……。 みんなはッ……アタシが守るッ……! この世界もッ……!みんなみんなアタシが救ってやるッ……!!! だから負けるわけにはいかねェッ……!!! 絶対にッ!!!!! アタシは更に力を振り絞って聖剣に力を込める。 「ッ……!ぐぅッ……!ぎぃッ……!! 負けねぇ……ぞおぉぉぉぉッ……!!!」 『……!いい顔になったな……勇者ソーラァよォッ……!!ククク!そうでなくてはつまらんッ!!!』 「ディザスタードラゴンッ……!! アタシはアンタをぶった斬ってッ……平和な未来を切り開くッ……!!!この世界のためにッ……!!! はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!」 ソーラァの左頬が激しく光り輝き、左頬に貼っていたテープが炎で燃え落ちる。 ソーラァに纏われていた力が膨大に膨れ上がる。 『グッ……! それが勇者の紋章かッ……!!だがッ!! いくら力を出そうと隕石の力を手にしたオレの敵では無いッ!!!!!』 「隕石がどうとか知らねえよッ!!! アタシが最強だッ!!だからアタシが勝つんだよォッ!!!!」 ギリギリとぶつかり合う2人、まるで隕石と隕石の衝突にも見える。 「「聖技」超ライトオーバーブレードオォォォォォォォォッ!!!!!」 ソーラァが力を振り絞るようにそう叫ぶと、聖剣に纏う刀身が巨大な刃となる。 「うおォォォォォォォォォォッ!!!!!」 ピシッとディザスタードラゴンの体にヒビが入った音がした。 『ーーーー!?』 このオレが負けるだとッ……! 隕石の力を手にしたこのオレがッ……!! 更にヒビが入っていき、ディザスタードラゴンの体がひび割れていく。 「くらいやがれえェェェェェェェェェェェッ!!!!!アタシの最強の一撃をッ!!!」 『ーーー来い……!勇者ソーラァよォッ!!!』 ソーラァは聖剣でディザスタードラゴンを貫く。 ディザスタードラゴンの胴体にポッカリと穴が空いた。 『ガハァッ……! ……見事だ……勇者……ソーラァよ……。 私に悔いはない……おまえは最強の勇者……だ……』 ディザスタードラゴンはそう言い捨てて、燃え上がりながら地上に落下していった。 「……アンタも……アタシの最強の敵……だったぜ……」 ソーラァも燃え上がり落下していく。 ーーー 「……これが全てね……まさかディザスタードラゴンを倒してしまうなんて凄すぎるわ……。 ねぇ?フィ、ル……?」 リーネがフィルの方へと振り向くとーー 「……っ……」 フィルは涙を流していた。 「フィ、フィル!?どうしたの!?」 リーネがフィルを心配すると、フィルはつぶやくように答えた。 「……私はソーラァさんの覚悟を軽く見てました。 まさかこんなにも固く強く決意していたなんて……本当に勇者ですよ、この子は……。 「そうね……アリアもそう思うでしょ?って ……寝てるし」 「すぴーー……」 アリアはあまりの長さに寝てしまったようだ。 「まぁ、今は早朝に差し掛かる頃だしね。 一旦アリアをベッドに寝かせてくるわ」 「はい……」 リーネはアリアを背負って、隣の部屋に行った。 バタンと扉の閉まる音がする。 「ん……んぅ……ここ、は……?」 「!」 ソーラァの意識が戻った。 フィルは涙を拭いてからソーラァを見る。 「ソーラァさん」 「あれ……フィ、ル……?」 うっすらとソーラァは目を開く。 「はい、フィルです」 フィルはソーラァの手を握る。 「なぁ……フィル……アタシは勇者になれたか……?」 ソーラァは呟くようにフィルに聞いた。 その声はすこし不安が混じり気な声だった。 フィルはソーラァの不安をかき消すかのように微笑む。 「貴女はもう……誰もが認める立派な勇者ですよ……!」 「へへ……そうか、やったぜっ……!」 その言葉を聞いたソーラァは笑顔になりガッツポーズをとったと同時に疲労で気を失った。 ーーー 次回に続く。

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