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感情世界ナノ
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【全てを知ったその先には】 第1話「はじめまして」

ここはどこにでもありそうなファンタジー世界 【ゼルソルネ】 そんな世界のとある王国の街の一軒家に1人、誰よりも変わった人間がいた。 その名は“ベルゼアーテ・ヴェスタロッサ” ありとあらゆるものを、全てを”知りたい”永久を生きる人である。 ーーこの物語はそんな変わった彼女の日常を綴りゆく物語ーー 第1話「はじめまして」 ーーー朝 6:00 ちゅんちゅんと鳥たちの囀る音が聞こえる。 彼女、ベルゼアーテは寝ていたーーわけでもなく、朝食と軽い運動を済ませ、着替えていた。 その服装は魔女のような服装でずっしりとした重みを感じる。 そして着替え終わったベルゼアーテは出かけようと歩を進めた。 タッ……タッ……タッ……。 扉の前までたどり着き、扉をゆっくりと開けた。 ガチャッ 「さ、助手探しに行こうか」 全てを知りたいベルゼアーテの一日の始まりである。 ーーーー ーーー ーー ーーあれから1時間ほど経っただろうか。 王国から出て、空を飛んで1時間。 スラム街に私はやってきた。 あたりを見渡すとボロボロに朽ち果てた廃墟、あちこちに捨てられた色々なゴミ。 人が心地よく住める環境ではないのは確かだ。 そして建物の影からは憎しみと羨望が籠った眼差しが私に向けられている。 そんなものは気にせず私はゆっくり歩く。 今回ここにきたのは私の手伝いをしてくれる“助手”を探しにきたからだ。 スラム街にいるような人間は何かと都合がいい。 しかし、私の助手になれるような子供は中々見つからない。 何故子供限定なのか、理由は単純。 大人は面倒だからだよ。 ずる賢く、変に知恵をつけられて私の知りたいことを邪魔をするようなことになっては面倒であり、例え排除したとしてもまた一から助手を探さなきゃいけないのは少々面倒臭い。 だからこういうのはまっさらな子供がいいのだよ。 真っ白な新しいノートに教えたことだけを覚えてくれれば、私の邪魔をしようなどと考えず手伝ってくれる人間にさえなってくれればいいんだ。 そう考えながらもずっと歩いて見回っているけれど、私の望む子は中々見つからない。 どの子も気持ちの悪い視線ばかりを送ってくる。 私が求めているのはこんな朽ち果てた廃墟でズタボロに這いつくばろうとも、必死に生きようと縋りつくような”目”を欲しているんだよ。 そういう目を持った人間は助手として必ず私の役に立つ。 今までもそうだったからね。 だから私はそんな目を持った子供を助手にしたいなと考えているのだけれどもーーー ーーおっと? 視線。 暗い暗い路地裏から私の求めていたものに近い視線を感じる。 私は視線が感じる方へと進みゆく。 タッ……タッ……タッ……。 近づいていくたびに強くなる視線。 私は期待が膨らむ、自然に笑みが浮かんでいた。 どんな人間がそこにいるのか、胸が高鳴った。 言うなればワクワクした。 私は知りたい、その視線の先にある人間をーー! 最奥にたどり着くと、一筋の光に当てられながらも壁にずるりともたれかかっていた少女がいた。 ベルゼアーテはじっくりと少女を見る。 外見は幼い……10歳も行ってないんじゃないかこの子……。 しかしだ……こんな無気力で虚な目をしているのに、凄まじく強い視線を私にしていたというのか……この子は……。 ……ますます君のことが知りたくなったよ私は……! 「やあやあ、こんにちは。私の名前はベルゼアーテ」 「ねえ、キミ。名は?」 ベルゼアーテは少ししゃがみ、目線を少女に合わせる。 「……な”ま”え”……な”い”……」 少女はガラガラな声でそう言った。 「おやおや、名前がないとは。ご家族にはつけてもらえなかったんだね」 ベルゼアーテはそう言いながらも指をパチンと鳴らすと、水の入った水筒が右手に出てきた。 「喉を痛めているようだね。ほら、まずは水でもどうかな?」 「……!……っ……!」 ベルゼアーテが水筒を差し出すと、少女は受け取り勢いよく水を飲んでいく。 「おやおや、焦ったって水は逃げないよ。 その水はキミのものなんだからね」 「……と言っている間にも空っぽになってしまったようだけどね」 「ぷ”は”ぁ”ーー……!」 「喉は潤せたかい?」 「う”ん”……」 少女は水筒を返しながら頷いた。 「しかしまだ喉は治ってないからね、私が治してあげよう」 「え……?」 ベルゼアーテは少女の喉に手を当て魔法を使う。 パァァァァ……。 「どう?喋ってみて」 ベルゼアーテは魔法を使うのをやめ手を離した。 「ぁ……あぁ……!声が……治ってる……!」 少女は驚きに包まれているようだ。 目をぱちぱちとしながら何度も自分の体と私をみている。 まるで小動物のようだね。 びっくりしていた少女はベルゼアーテにおずおずしながら聞いた。 「あ……あなたは……魔法使いさん……ですか……?」 「私はね、魔法使いなんかじゃないよ。ただのしがないちょっと知りたがりな人間さ」 ベルゼアーテは微笑みながら言った。 「知りたがりな人間さん……?」 それを聞いた少女はわからないっていう表情をしている。 「なあに、そんな難しく考えなくてもいいよ。 いろんなことが知りたくてあちこち行ったり調べたり、時には実行したりしている人ってだけだよ」 「……な、なるほど……じゃあ……なんで見ず知らずのわたしを助けてくれたんですか……?」 少女は今まで伏せがちだった目をベルゼアーテに向ける。 「それはね、私に助手が欲しかったからだよ」 ベルゼアーテは少女の頬にゆっくりと触れる。 「助手が欲しかったから……?」 「そう、私の知りたいことを手伝ってくれる助手が欲しい。そして私のお眼鏡に叶ったのがキミと言うわけさ」 「だから助けた、だから治した」 「私の助手にしたいからね」 「あ、だからといって無理強いはしないよ?」 「だってキミの人生だ、私が触れていいものじゃあない。キミ自身が選ぶんだよ」 ベルゼアーテは立ち上がる。 「今一度自己紹介しようか」 「私の名前はベルゼアーテ・ヴェスタロッサ」 「強き瞳を持っている少女よ、私の助手になってくれないかな?助手になってくれた暁にはふわふわベッドに美味しいご飯3食付き、素敵な可愛いお洋服も用意すると約束しようじゃないか」 ベルゼアーテはそう言いながら少女に手を差し伸べた。 「……ベルゼアーテさんの助手……」 少女は少し考えるもすぐに手を伸ばす。 私の差し出した手に重なるように。 「……なります……わたし……」 「ベルゼアーテさんの助手にっ……!」 少女は真剣な表情で私に言い放った。 がっしりと手は繋がれている。 私は助手が見つかって心底嬉しいと感じたよ、本当に。 「いい目だ、じゃあ助手誕生記念として名のないキミに名前を授けようとしようじゃないか」 「な、名前を……?」 少女が驚いている間にもベルゼアーテは軽々と少女を持ち上げ、抱きかかえた。 「ほ、ほわぁっ……!?」 少女は更に驚いて落ちないようにと必死にベルゼアーテにしがみつく。 ベルゼアーテは気にせず浮かび上がり、高く高く上空へと飛びだった。 「わ、わわっ……き、きれい……」 少女は高さに驚くものの、上空から見下ろす世界の景色は絶景だった。 「あんな小汚い場所で名前をつけられるのは気分が悪いだろう?だから最高に明るく綺麗な場所で名付けてあげようと思ってね」 ベルゼアーテはニコッと微笑む。 「あ、ありがとう……ございます……」 「まだ名前もつけてないのに礼を言うなんて無しだよ」 ベルゼアーテは人差し指でツンと少女の口を押さえる。 「あぅ……」 少女は恥ずかしそうに目を逸らす。 ベルゼアーテは少女の顔をじっと見つめる、少女も恥ずかしさはすぐに掻き消え、緊張した面持ちでベルゼアーテを見つめ返す。 「キミの名前はね……」 「フィーネ」 「フィー……ネ……?」 「そう、フィーネ・ヴェスタロッサだよ。今日からキミは」 「フィーネ……ヴェスタロッサ……家族じゃないのに……苗字までもらっていいの……?」 「助手なんてもう家族みたいなものさ、キミは今日今この瞬間から堂々とその名を叫んでいいんだよ」 私がそう言うと、フィーネは私の服に掴む力を強めた。 フィーネの顔に視線を戻すと、フィーネの瞳がうるうると今にも溢れんばかりになっているじゃないか。 「わたしはっ……フィーネ・ヴェスタロッサっ……フィーネ……ヴェスタロッサぁ……!うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……!!!」 フィーネは私の服に泣きつき、涙を流している。 この子に何があったのかは後でよく聞き、知ろうとしよう。 だがしかし、今は泣いているフィーネを優しく撫でてあげようとしようじゃないか。 「よし、よし」 ベルゼアーテは何も言わず、フィーネが泣き止むまで撫で続けた。 ーーー ーー ー 次回「フィーネを知りたい」

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